岡山のりについて about okayama nori
岡山とのり
全国ベスト10に入る生産量を誇る岡山のりは100年を超える養殖の歴史を持っています。
現在では岡山県東部の瀬戸内市牛窓町から岡山市の吉井川・旭川の河口域、倉敷市の高梁川の河口域を経て笠岡市沖の島嶼部まで、海面に網を浮かべて養殖できる「浮き流し養殖」によって、毎年約2億枚に及ぶのりが生産されています。
岡山の海には3本の大きな川が流れ込み、そこからもたらされる豊かな栄養によって、瀬戸内でも特に自慢のできる多くの美味しい魚介類が水揚げされていますが、のりはその中でも豊かな漁場の恩恵を最も受けている岡山自慢の特産品です。
岡山ののり生産者はこの漁場特性を活かして、海面での育成養殖から刈取後の乾のりへの加工まで味にこだわり、美味しいのりの生産を常に心がけ、努力することで、瀬戸内の中でも美味しいのりとして評価されております。
しかし近年は水温が高く、水温降下の遅れやカモやチヌ・ボラなどに食べられたという食害などの自然の影響を受け厳しい状況となっております。
このような自然環境と闘いながら、生産者の方は少しでも美味しいのりを作るために毎日を極寒の海で愛情をこめてのりを育てております。
そんな岡山のりですが、ほぼ全量が入札にて全国に出荷され、他産地の製品と一緒に「国産」や「瀬戸内海産」として販売されており、消費者には中々産地が見えておりません。
JF岡山漁連では、「岡山では自慢できる美味しいのりが作られているんだよ~」ということを知っていただきたいという思いで、2015年からのりのPR活動を積極的に行っています。シーズン最初の入札会で最高の等級を得た新のりに限定して「新の頂」とし、2番刈りまでの上質なのりを「若」等級とし、「若のり」というブランドで販売しております。
岡山のりの認知向上の為に
子どもたちに向けて
岡山でのりが作られていることを知ってもらうために、県内の学校給食において味付のりや手巻きのりを使った給食を提供しています。
また、昔ながらの手作業で板のりが出来上がるまでの生産工程を見ることが出来る「のりすき体験」や「出張授業」に行くこともあります。
のり共進会
乾のり製品の品質や生産技術の向上を図り、のり養殖業の発展を目指して、岡山県内ののり養殖業者が生産した乾のりの品評会を開催しています。例年100点以上の出品数の中から、のりの色や光沢、味等の総合的な品質を審査して入賞者が選ばれます。(写真は第44回岡山県のり共進会 令和元年11月19日)
栄養満点のスーパーフード
のりに含まれる主な栄養素
ビタミンA
視力低下を防ぎ、健康な皮膚や髪を作る
<1日に必要な量>
450~650μg
ビタミンAは焼のり3枚で207μgと1日の約1/3量を摂ることができます。にんじんやほうれん草にも豊富に含まれており、ビタミンAは脂溶性ビタミンなので、にんじんやほうれん草とのりで油を使った料理にすれば、最強のビタミンA強化食になります。
ビタミンB2
ご飯をエネルギーに変える
<1日に必要な量>
0.9~1.3㎎
ビタミンB2は3大栄養素がエネルギーに変わるのをサポートする他、皮膚や髪の再生にも働きます。焼のり3枚で0.21㎎ですが、納豆や卵にも含まれるため、あわせて食べることにより更に摂取することができます。
ビタミンB12
ボケ防止に
<1日に必要な量>
2.0μg
ビタミンB12は「造血のビタミン」とも呼ばれており、不足すると貧血を起こしやすくなることが分かっています。また、脳神経を正常に保つことで、ボケ防止にも役立ちます。焼のり2枚で2.6μgと1日に十分な量を摂取できます。
葉酸
赤ちゃんの健全な成長に
<1日に必要な量>
200μg
葉酸はほうれん草から発見された緑黄色野菜に多く含まれるビタミンで、特に胎児の健全な成長に欠かせない大切な栄養素です。焼のり4枚で228μgと1日に十分な量を摂取できます。
食物繊維
腸内をキレイに
<1日に必要な量>
18~20g
のりの1/3は食物繊維でできており、便のかさを増やして排便を促したりと、腸内環境を整えてくれます。焼のり3枚で3.2g摂取でき、また豆類や大豆製品のみそや納豆にも多く含まれているため、あわせて食べることにより一層食物繊維を摂ることができます。
鉄分
貧血予防に
<1日に必要な量>
5~6.5㎎
鉄は体内で血液中の酸素を運んだり、免疫機能の維持や造血作用もある重要なミネラルで、不足すれば貧血になってしまいます。焼のり3枚で鉄は1㎎と1日に必要量には足りませんが、鉄は意識しないと摂取しにくい栄養素なので、そのまま食べられる焼のりは手軽に補給できる食品といえます。
EPA
血液をサラサラに
<1日に必要な量>
900㎎
青魚などに含まれる良質な脂質のEPAが多く含まれています。血管を柔軟に保ち、血液をサラサラにすることで動脈硬化の予防にも役立ちます。焼のり3枚で108㎎摂取することができます。
そして何より・・・のりは美味しい!
最後に、忘れてはいけないのが「のりは美味しい」ということです。のりにはうま味成分である「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」のすべてが含まれており、自然食品の中では唯一といわれています。
のりは多くの栄養素を含んでおり、「のりを1日3枚」ほど、食卓に添えたり料理に使うことで、不足しがちなビタミンやミネラルを手軽に摂り入れることができる優れた食品です。
食品名 |
---|
あまのり/ほしのり |
あまのり/焼のり |
あまのり/味付のり |
だいず/国産/黄大豆/ゆで |
だいず/[納豆類]/糸引き納豆 |
ごぼう/根、生 |
にんじん/根、皮むき、生 |
ほうれんそう/葉、通年平均、生 |
鶏卵/全卵/生 |
アボカド/生 |
乳類/(液状乳類)/普通牛乳 |
熱量( kcal ) | 水分( g ) | たんぱく質( g ) | 脂質( g ) | 炭水化物( g ) | 食塩相当量( g ) | カルシウム( mg ) | α-カロテン( μg ) | β-カロテン( μg ) | ビタミンB6( mg ) | ビタミンB12( μg ) | ビタミンC( mg ) | 葉酸( μg ) | 鉄( mg ) | 食物繊維( g ) | 重量( g ) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
173 | 8.4 | 39.4 | 3.7 | 38.7 | 1.5 | 140 | 8,800 | 38,000 | 0.61 | 77.6 | 160 | 1,200 | 10.7 | 31.2 | 100 |
188 | 2.3 | 41.4 | 3.7 | 44.3 | 1.3 | 280 | 4,100 | 25,000 | 0.59 | 57.6 | 210 | 1,900 | 11.4 | 36 | 100 |
359 | 3.4 | 40 | 3.5 | 41.8 | 4.3 | 170 | 5,600 | 29,000 | 0.51 | 58.1 | 200 | 1,600 | 8.2 | 25.2 | 100 |
176 | 65.4 | 14.8 | 9.8 | 8.4 | 0 | 79 | 0 | 3 | 0.1 | '(0) | Tr | 41 | 2.2 | 8.5 | 100 |
200 | 59.5 | 16.5 | 10 | 12.1 | 0 | 90 | - | - | 0.24 | Tr | Tr | 120 | 3.3 | 6.7 | 100 |
65 | 81.7 | 1.8 | 0.1 | 15.4 | 0 | 46 | 0 | 1 | 0.1 | '(0) | 3 | 68 | 0.7 | 5.7 | 100 |
36 | 89.7 | 0.8 | 0.1 | 8.7 | 0.1 | 26 | 3,200 | 6,700 | 0.1 | '(0) | 6 | 23 | 0.2 | 2.4 | 100 |
20 | 92.4 | 2.2 | 0.4 | 3.1 | 0 | 49 | 0 | 4,200 | 0.14 | '(0) | 35 | 210 | 2 | 2.8 | 100 |
187 | 71.3 | 2.5 | 18.7 | 6.2 | 0 | 9 | 15 | 53 | 0.32 | '(0) | 15 | 84 | 0.7 | 5.3 | 100 |
151 | 76.1 | 12.3 | 10.3 | 0.3 | 0.4 | 51 | 0 | 3 | 0.08 | 0.9 | 0 | 43 | 1.8 | 0 | 100 |
67 | 87.4 | 3.3 | 3.8 | 4.8 | 0.1 | 110 | 0 | 6 | 0.03 | 0.3 | 1 | 5 | 0 | '(0) | 100 |
- ※表示される値は、可食部100g当たりに含まれる成分を表します。
- ※μgは、百万分の一グラムを表します。
- ※Tr:ごく微量
- ※乾のりは、1枚約3gです。
- ※日本食品標準成分表2015年版(七訂)を用いて計算した推定値です。
のりの豆知識
01のりの品種について
紅藻類に属し、養殖当初はアサクサノリが主でしたが、病気に弱く養殖が難しいことが問題でした。後に、病気に強く経年変化による⾊落ちが少ないスサビノリの養殖法が確⽴すると主流はスサビノリへ。そしてスサビノリよりも収穫量が多いナラワスサビノリへ移り変わりました。ちなみにアオノリは緑藻類、コンブやワカメは褐藻類に属します。
02のりの数え方やサイズは決まっているの?
10枚を1帖と数え、10帖を1把として帯封しています。全型1枚のサイズは縦21㎝×横19㎝となっています。
これが巻き寿司⽤に使われており、⼿巻き寿司⽤やおむすび⽤にカットをし使⽤されております。また、味付のりは、味付後に6切・8切・12切などにカットされております。
03のりの裏表はどっち?
江⼾時代に開発されたのり抄きという製法が、現在でも使われています。これは和紙の製法と同じく、細断したのりを簾に広げて抄くというものです。この時、簾に接した側が裏⾯となり、ザラザラした⾒た⽬になります。逆に表⾯はツルツルして光沢がある⾒た⽬となります。おにぎりや⼿巻き寿司の時は、裏⾯にご飯を乗せると綺麗に出来ます!
04のりの保存方法
湿気に弱いため、保存⽅法が⼤切です。
密閉出来る容器やチャック付の袋に乾燥剤を⼊れて保存してください。
また、冷蔵庫や冷凍庫に保存したのりを使う際は、30分〜1時間前に取り出し、開封せずに常温で戻しましょう。
※必要な分だけ取り出し使⽤するのが美味しさの秘訣!!
052月6日は「のりの日」
古代から⽇本⼈に好まれている伝統的な⾷品であるのりは、海からの贈り物であるのりに対する感謝の気持ちを込めて、全国海苔⾙類漁業協同組合連合会は、全国海苔漁⺠の総意として 1966年(昭和41年)
「のりの⽇」を2⽉6⽇と定め、以来毎年記念⾏事を実施しております。
「のりの⽇」の由来は、⼤宝元年(701年)に制定された⽇本最古の成⽂法典である「⼤宝律令」によれば、29種類の海産物が租税としておさめられていました。そのうち8種類が海藻で、のりがその1
つとして表記されています。このことから、のりは産地諸国の代表的な産物として、⼤変貴重な⾷品であったことがうかがえます。
この史実に基づき、「⼤宝律令」 が施⾏された⼤宝2年1⽉1⽇を⻄暦に換算すると702年2⽉6⽇となるため、業界の発展祈願の気持ちを込めて毎年2⽉6⽇を「のりの⽇」と定め、毎年各種記念行事を行っております。
参考文献
- 「海苔PRESS 海苔で健康推進委員会通信」Vol42
- 「海苔PRESS 海苔で健康推進委員会通信」増刊号
- 「全国漁連のり事業推進協議会 美味しく、楽しく、国産のりを食べよう!」
- ▶ https://www.temakizushi.com/